「最強のふたり」は、2011年に公開されたフランス映画で、日本でも興行収入が16億円越えの大ヒット作品です。登場人物のドリスは、四肢麻痺の障害を持つフィリップの介護人をどうして辞めることになったのか?「最高のふたり」は実話を基にして作られていると言われているが本当?など、モデルとなった人物の元ネタにも注目しながら徹底調査していきたいと思います。
『最強のふたり』のドリスはなぜ辞めた?
ドリスは、首から下の身体を動かすことができない大富豪のフィリップの介護人として雇われていました。貧しい環境で育ち、前科もある黒人青年のドリスと、上流階級で車椅子生活を送るフィリップは、まったく異なる世界で生きてきました。
しかし、次第にお互いを理解し、深い友情で結ばれるようになります。ところが、ドリスはフィリップの元を離れ、介護人の仕事を辞めることになります。
親密な関係を築いていた二人の間に何が起きたのか。いくつかの理由が劇中の場面から、その背景を読み取ることができますので、ご紹介していきます。
弟や家族の為に辞めた
ドリスがなぜ辞めたかというと、弟や家族の為にフィリップの介護人を辞めました。複雑な家庭環境のドリスは、複数の兄弟姉妹がおりその家族を支えていきたいと、フィリップの元を去る覚悟を決めました。
▼ドリスの複雑な家庭環境 8歳の時に叔母夫婦の養子になる 叔父が亡くなる 叔母が再婚・子供ができる |
叔母が再婚し、ドリスには複数の兄弟姉妹がいました。その中の弟アダマが、薬物取引でヘマをしドリスに助けを求めフィリップの屋敷に逃げ込んできました。このことで、弟や残してきた家族が心配になり、介護の仕事を辞めようと決意します。
ドリスを送り出した理由
フィリップは自分の介護人としてそばにいてほしい気持ちがありつつ、ドリスの為には家族のもとに帰るべきとも考えていました。
必要とされているドリス
ドリスの弟が屋敷に逃げ込んできた時、フィリップは初めてドリスの家族について知ることとなります。フィリップは、辞めて家族の元へ行くべきだという直接的な言葉ではなく、劇中のあるシーンで「弟にはしつけが必要じゃないのかね」とだけドリスに伝えています。
ドリスの一生の仕事ではない
フィリップは以前からドリスには才能や様々な可能性を持っていると感じているようでした。ドリスの描いた絵をみたフィリップは、知人にその絵を見せますが日本円にして100万円以上で売れることになります。
フィリップと共に過ごしてきたドリスは、以前の素行の悪いドリスではなくなっていました。そんなドリスに「これは君の一生の仕事じゃない」とフィリップはドリスに話をしています。
実話とは辞めた理由が違う
映画の中では家族の為に辞めたことになっていますが、実話では大きく異なります。なぜ辞めたのかというと実は、介護人であるアブデル(ドリス)が運命の人に出会ったからなのです。
フィリップは、恋に落ちたアブデル(ドリス)に自分の人生を歩んでほしいと思い、介護契約を解除したのです。単なる雇用関係ではなく、友人として心からの幸せを願ったのです。
『最強のふたり』の話って実話なの?
「最強のふたり」は実話を基に作られた作品です。2001年に、大富豪のフィリップ・ポゾ・ディ・ボルゴという人が「A second wind」という自叙伝を出版しました。
フィリップは、1933年にパラグライダーの事故で首から下が完全に麻痺して車椅子生活となりました。介護を必要とする生活を送りながら、最愛の妻の闘病と死や、介護人のアブデル・ヤスミン・セローとの出会いについて書かれた自叙伝です。
自叙伝から映画作品になるまで
フィリップが書いた本が話題となり、フランスのあるテレビ番組に二人が出演することとなります。二人の関係性に注目したこの番組の司会者だったミレイユ・デュマが、フィリップとアブデルのドキュメンタリー映画を制作します。
その作品がこちらです。
このドキュメンタリー映画もかなりの注目を集め、多くの映画化のオファーがフィリップの元に来ていました。その中の一人だったトレダノ&ナカシュ監督が、この二人を題材にコメディ映画として制作することになったのです。
『最強のふたり』の元ネタを調査
「最強のふたり」の劇中には、実話と異なる設定などもありますが、実際の二人が行っているエピソードなどが沢山盛り込まれています。映画ではフィリップとドリスが過ごした時間というのは、1年前後くらいのように描かれています。
しかし、実際の二人が過ごしたのは、1994年から2004年までの10年間もの間、共に過ごされています。その間に、介護人だったアブデルさんはフィリップさんを外の世界へと連れ出し、多くの無茶なことを沢山してきたそうです。
全身麻痺の原因
映画で全身麻痺になった理由はパラグライダーでの事故とされていますが、実際もフィリップはパラグライダーでの頚椎損傷が原因で全身が麻痺となりました。着地に失敗して大事故にあったそうです。
介護人になったきっかけ
フィリップは自分の介護をしてくれる人間を映画と同じように、約90名以上面接を繰り返したそうです。面接会場に現れたアブデル(ドリス)は、雇ってほしい訳でなく失業証明の書類にサインしてもらうためだけに現れました。
映画の中でも同じ理由でドリスは面接会場に現れましたが、障害を持つフィリップに対して皮肉やジョークを飛ばすばかりなのは実際のアブデルも同じでした。
いままでの志望者と態度が全然違う、常識外の行動・型破りなアブデル(ドリス)が気に入って雇用したのです。
警察に追われた時の言い訳
「最強のふたり」の作品の中で、猛スピードでドライブをするフィリップとドリス。警察に追われてしまうことになるが、ドリスは言い訳としてフィリップに発作が起きて、急いでいたと言います。フィリップを確認しにいく警察が見たものは、フィリップが痙攣して苦しんでいる姿。二人して警察を騙してお咎めなしだったのですが、実際のフィリップは、車に人工呼吸器を装着して警察に追われた時に使っていたそうです。
最愛の妻の死
映画では、最愛の妻の死を悲しみ苦しんでいるフィリップが描かれています。実際は、介護人であるアブデルがフィリップの介護を始めた時は、まだ妻は生きていました。妻の辛く苦しい闘病生活なども一緒にみてきたのがアブデルでした。
まとめ
『最強のふたり』のドリスはなぜ介護人辞めたのか?実話って本当なのか元ネタを徹底調査しました。大富豪のフィリップとほとんど浮浪者のような暮らしだったドリス。
立場や境遇が違う者がお互いに支え合い信頼と強い絆で結ばれる二人のストーリーは、見ている人たちの心を温かいものにするでしょう。