『猿の惑星』シリーズは、人間と猿の立場が逆転した世界を描く壮大なSFサーガです。作品数が多く、「猿の惑星の見る順番がわからない」と迷う人も少なくありません。物語と映像技術の進化を堪能するには、やはり公開順での視聴がおすすめ。
本記事では「猿の惑星」の見る順番や見どころ、ネタバレもあわせて紹介します。
「猿の惑星」(1968年)
シリーズの原点にして、SF映画の金字塔とも言われる作品です。人間と猿の立場が逆転した衝撃的な世界観は、今なお多くの人に強い印象を残しています。社会風刺と哲学的テーマを融合させた、まさに「問題提起型SF」の代表作です。
見どころ
未知の惑星で人間が猿に支配されているかという設定が斬新。セリフの一つひとつに深い意味が込められ、文明と野蛮、人間の傲慢さを象徴的に描いています。特撮技術も当時としては驚異的で、猿の表情や動作のリアルさが高く評価されました。
ネタバレ
宇宙飛行士テイラーが辿り着いた惑星、それは未来の地球でした。海岸に埋もれた自由の女神像を見て絶望するラストシーンは、映画史に残る衝撃の結末として知られています。
「続・猿の惑星」(1970年)
前作の直後を描く続編で、より深く世界の謎に迫る物語。地下に生き残った人類や、核戦争の爪痕が登場し、文明の崩壊をリアルに描き出しています。終末的なムードが漂う、シリーズでも特に重厚な一作です。
見どころ
ミュータント人間という新たな存在の登場により、物語は宗教的・政治的なテーマへと発展します。戦争と信仰、破壊と再生という壮大なテーマを、SFとして見事に昇華しています。
ネタバレ
テイラーは核を信仰する地下の人々と対立し、最終的に核ミサイルを起動。地球は爆発し、シリーズ全体を通して最も絶望的な結末を迎えます。
「新・猿の惑星」(1971年)
舞台を一転、猿たちが20世紀の地球にタイムスリップするというユニークな設定。コメディタッチから始まり、次第にシリアスな展開へと変化していく緩急のあるドラマです。シリーズの中でも社会風刺色が最も強い作品となっています。
見どころ
現代社会の偏見や差別を猿たちの視点から描く構成が秀逸。報道や世論の暴走など、人間社会の問題点を風刺的に映し出しています。観客は笑いながらも、自分たちの姿を突きつけられるような感覚を味わえるでしょう。
ネタバレ
人間たちは知能を持つ猿たちを恐れ、ジーラとコーネリアスを追い詰めます。彼らは息子を守るため命を落としますが、赤ん坊シーザーだけが密かに生き延び、人類と猿の未来を繋ぐ存在になるのです。
「猿の惑星・征服」(1972年)
シーザーの反乱を描くシリーズ中盤のクライマックス。未来社会で人間に支配される猿たちが立ち上がり、やがて世界を変えていく物語です。人種差別や支配構造をテーマにした、社会派SFの傑作とも言われています。
見どころ
人間による猿への虐待が描かれ、抑圧から解放という強烈なメッセージを放ちます。シーザーが指導者として覚醒していく姿には、カリスマ的な力強さがあり、革命の瞬間を描く映像演出も圧巻です。
ネタバレ
反乱を起こした猿たちはついに人間社会を制圧。シーザーは支配者となり、ここから猿の惑星の時代が始まることが示唆されます。暴力による解放が次なる悲劇を呼ぶことを暗示する終わり方です。
「最後の猿の惑星」(1973年)
シリーズの一区切りを飾る最終章。猿が文明を築いた世界で、かつての指導者シーザーが共存という理想を追い詰める姿を描きます。暴力ではなく理解と平和の可能性を模索する感動的な物語です。
見どころ
戦いではなく「対話」に焦点を当てた展開が特徴。シーザーの人間的な苦悩や、息子との関係など、心理のドラマとしても深みがあります。シリーズを通して描かれた進化の輪を締めくくる重要な章です。
ネタバレ
シーザーは人間との争いを避けようとするも、周囲の復讐心が新たな火種を生むことに。最終的には「未来は猿にも人間にも託される」という希望のメッセージを残し、物語は静かに幕を下ろします。
「猿の惑星:創世記(ジェネシス)」(2011年)
シリーズを現代技術で再構築したリブート三部作の第一作。シーザー誕生の経緯を描き、旧シリーズの前日譚ともなる物語です。最新CG技術によって表現された猿の感情表現は圧巻の一言。
見どころ
動物実験や科学の暴走といった現代的テーマを描きつつ、シーザーと人間との絆が丁寧に描かれています。ジェームズ・フランコ演じる科学者との父子のような関係性が感動を呼びました。
ネタバレ
薬の副作用で知能を得たシーザーは、人間に反発し仲間を率いて森へ逃亡。ラストでは人間社会にウイルスが広まり、次第に人類が滅亡していく未来が示唆されます。
「猿の惑星:新世紀(ライジング)」(2014年)
人類が激滅した世界で、猿たちは独自の社会を築いています。森の中で平和に暮らしていた猿たちと、人間との接触が再び争いを生む続編。文明の崩壊後を描く重厚な人間ドラマです。
見どころ
猿と人間の共存の可能性をテーマに、信頼と裏切り、そして憎しみの連鎖をリアルに描きます。モーションキャプチャーによる演技が生々しく、猿たちの表情から感情が伝わってくるのが見どころです。
ネタバレ
シーザーの右腕・コバが人間への復讐心から反乱を起こし、猿社会を内側から崩壊させました。最終的にコバはシーザーに倒されますが、結果的に人間との全面戦争が避けられなくなります。
「猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)」(2017年)
新シリーズの完結編。家族を殺されたシーザーが復讐と赦しの間で揺れながら、猿たちを導く壮大なドラマです。宗教的象徴と戦争の悲劇を融合させた、重厚なテーマ性が際立ちます。
見どころ
アクション、ドラマ、映像美全てがシリーズ最高レベル。シーザーの人間味な苦悩が中心に描かれ、単なるSFを超えたヒューマンドラマとして完成しています。感情を揺さぶる音楽も高評価を得ました。
ネタバレ
シーザーは宿敵・大佐を討ち、猿たちを完全な地へ導くも、自身は傷を負い命を落とします。その死は猿の新時代の象徴となり、シリーズは静かに幕を閉じました。
最後に
「猿の惑星」の見る順番や見どころ、ネタバレを紹介してきました。公開順に観ることで時代ごとの映像技術やテーマの進化を自然に体感でき、初期シリーズの哲学的要素から、リブート版の感情豊かな物語まで、一貫して「人間とは何か」を問いかける傑作群。
ぜひ公開順で、壮大な進化の物語を味わってください。